革の加工方法・種類についてのまとめ。同じ皮でも違った革に?
皮から革にする処理を「なめす」と言いましたね。
そして、革の性質を決めるもう一つに「加工方法」があります。
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ここでは、革の加工方法についての種類と特徴をまとめています。
漢字の読みそのままの内容がほとんどですので、直感的にも理解しやすいかと思います。
革の加工方法は多くの方法が存在するため、その中でも代表的な加工方法を、
の4つに大別して紹介していきます!
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1. 銀面をいかした加工
まずは、「銀面をいかした加工」についての紹介です。
銀面って何?
と思いますよね?
銀面とは、革の表面のことを指します。
この銀面をいかした、すなわち革の表情(表面)をいかした加工方法について紹介します。
ヌメ革
ヌメ革とは、タンニンでなめしで処理された後、染色も塗装もおこなっていない革のことです。
【 特徴 】
繊維の目が詰まっているために丈夫ですが、表面加工されていないことから表面は傷つきやすく、水に弱いことがあります。
しかし、タンニンなめしによりなめされていることから、使っていくうちに、柔らかさ・色合い・艶がの経年変化を味わえ、革の表情を楽しむことができます。
表面の傷さえ味わいに感じさせる革素材。
タンニンなめしの代表格と言えます。
ポイントまとめ
- ヌメ革とは、染色も塗装もおこなっていない革のこと
- 表面は傷つきやすく、水に弱い
- 柔らかさ・色合い・艶がの経年変化を味わる
- タンニンなめしの代表格
ブライドル・レザー
ブライドル・レザーとは、タンニンなめし後に蜜ロウをしみ込ませた加工を施した丈夫な革のこと。
【 特徴 】
使い始めは白い粉(ブルーム)がふいたようになっていますが、使い込むにつれ光沢が増し、深みのある色へと変化するエイジングが楽しめるのが特徴です。
革の中でも最高峰の強度と耐久性があります。
上品さの中に重厚感のある艶やかな光沢を放ちます。
ポイントまとめ
- ブライドル・レザーとは、蜜ロウをしみ込ませた丈夫な革
- 使い始めは白い粉(ブルーム)がふいている
- 使い込むと光沢・深みのある色へと変化する
- 最高峰の強度と耐久性がある
アニリンレザー
アニリンレザーとは、銀面の特徴をを生かすために、表皮を削らずに残して染色した革に、透明な染料(アニリン)加工を施した革のこと。
【 特徴 】
染料が透明なアニリンを使用していることで、銀面の透明感があり、本来の銀面が楽しめるのが特徴です。
しかし、水分に弱くシミになりやすいので取扱には注意が必要です。
ポイントまとめ
- アニリンレザーとは、透明な染料(アニリン)加工を施した革
- 銀面の透明感がある
- 水分に弱くシミになりやすい
シュリンクレザー
シュリンクレザーとは、鞣し工程中に特別な薬品を用いて銀面を縮ませた革のこと。
【 特徴 】
揉んだ革よりもシボ(シワのこと)が強調されるのが特徴です。
「シュリンク」とは「縮む」という意味があります。
見た目はもみ革と似ていますが、薬品で縮ませていることから、シボが伸びないのが違います。
ポイントまとめ
- シュリンクレザーとは、薬品を用いてシボ(シワ)がある革
- 揉み革よりも、シボが強調される
- シボが伸びない
タンロー
タンローとは、「タンニン鞣しのローケツ染め用革」の略称のこと。
【 特徴 】
カービングに使用される。
ちなみにカービングとは、革に模様をつけることです。
本来のタンローは白っぽく、革に含まれる油分が少ないことから、水性の染料に染まりやすく染色に適しています。
ポイントまとめ
- タンローとは、「タンニン鞣しのローケツ染め用革」の略称
- 主に、カービングに使用される革
- 水性の染料に染まりやすく染色しやすい
2. 光沢加工
次は、光沢加工です。
エナメルをはじめ、光沢感が特徴的ですね。
ツヤをだしたり、強度を与える加工のことを光沢加工と言います。
有名なのがエナメルですが、それ以外にも種類があります。
エナメル革
エナメル革とは、「クロムなめし」した後「エナメル」・「ポリウレタン」などの合成樹脂を塗装して、革の銀面をツヤツヤな光沢を出した革のこと。
【 特徴 】
言わずと知れたエナメルレザーは、表面の光沢が特徴です。
見た目からもわかるように、耐水性が強く汚れが付きにくく手入れが簡単です。
「パテントレザー」とも呼ばれます。
ポイントまとめ
- エナメル革とは、合成樹脂塗装を施した光沢のある革
- 表面の光沢がツヤツヤ
- 耐久性が強く、手入れが簡単
- パテントレザーとも呼ぶ
ガラスレザー
ガラスレザーとは、クロムなめしをした革をガラス板に貼り付け(銀面)、乾燥後に光沢が出るように磨き上げ塗装処理をした革のこと。
【 特徴 】
革の表面を削ってならしてから、合成樹脂と顔料で仕上げているため、表面に毛穴がまったく見えません。
エナメル革よりは落ち着いた光沢です。
また、エナメル革よりも柔らかいです。
ポイントまとめ
- ガラスレザーとは、ガラス板に張り付けて磨き上げ塗装処理をした革
- 表面に毛穴が全く見えない
- エナメルより落ち着いた光沢
- エナメルより柔らかい
起毛加工
起毛とは、表面をひっかいて毛羽(ケバ)を出す加工のこと。
表面を毛羽が覆い、手触りが柔らかくなり、独特の外観、厚みが出て温かみのあるものになります。
スエード
スエードとは、革の床面をサンドペーパーで毛羽立てて(バフィング)、ベルベット状に起毛させて仕上げた革で、主に子牛皮や山羊皮等から作られる革のこと。
【 特徴 】
まず何と言っても、起毛させた表面が特徴です。
革の銀面(表面)ではなく、裏側を表にして使っています。
毛足が短くソフトなものほど上質とされています。
ポイントまとめ
- スエードとは、起毛させた革
- 銀面ではなく裏面を使用している
- 毛が短くソフトなほど上質と言える
ヌバック
ヌバックとは、スエードと異なり革の銀面をサンドペーパーで毛羽立てた革のこと。
【 特徴 】
スエードと比較すると毛羽が非常に短くビロード状になっているのが特徴です。
高級品は子牛皮を原料にしますが、成牛皮やその他の動物皮からも作られます。
ポイント
- ヌバックとは、銀面を起毛させた革
- 成牛やその他動物からも作られる
- 毛羽が非常に短くビロード状になっている
ベロア
ベロアとは、革の床面をサンドペーパーで毛羽立てて(バフィング)、ベルベット状に起毛させて仕上げた革で、成牛皮等の大動物皮を起毛した毛足のやや長い革のこと。
【 特徴 】
スエードと同じように、革の裏面を起毛させています。
スエードよりも表面が粗く毛足が長いのが特徴です。
特に、鹿皮の銀面を除去し毛羽立てた革は、手触りの柔らかいきわめて柔軟な革です。
ポイント
- ベロアとは、裏面を起毛させた毛足のやや長い革
- スエードより表面が粗く毛足が長い
- 手触りが滑らかで、とても柔らかい
その他の加工
その他にも、色々と加工の種類はありますがその中でも代表的な革の加工方法をピックアップします。
ガラス張り革
ガラス張り革とは、クロム鞣しの乾燥の工程で革をガラス板(又はホーロー鉄板)に張り付けて乾燥し、銀面をサンドペーパーで削り(バフィング)、合成樹脂を塗装して仕上げた革のこと。
【 特徴 】
銀面が均一ですが、風合いがなくなっているのが特徴です。
堅牢で汚れにも強く手入れが簡単です。
ポイントまとめ
- ガラス張り革とは、ガラス板に張り付け、合成樹脂を塗装した革
- 銀面が均一だが風合いがない
- 堅牢で汚れに強い
型押し革
型押し革とは、革の仕上げ塗装面に加熱高圧型押し革プレスで型をつけた革のこと。
【 特徴 】
型押し革は、車の内装によく使われています。
また、財布やバッグなどの製品にもよく使われています。
銀面模様又はデザイン模様を付けることができるのが特徴です。
ポイントまとめ
- 型押し革とは、型をつけた革
- 製品によく使用される
- 様々なデザイン模様がある
セミアニリンレザー
セミアニリンレザーとは、銀面をそぎ落として床面に型押し(エンボス)加工を行い、アリニン加工後にウレタン塗装仕上げをした革のこと。
【 特徴 】
耐久性に優れており、汚れに強いのが特徴です。
アリニンレザーよりも表情が均一で、傷に強いです。
とても柔らかく、肌触りがいいのでソファーなどに使われています。
ポイント
- セミアニリンレザーとは、アリニン加工後に塗装仕上げをした革
- 耐久性に優れ、汚れに強い
- 柔らかく、よくソファーに使用される
床革
床革とは、成牛皮のように厚い皮を2層か3層に分割して得られた銀面を持たない床皮を原料とした革のこと。
【 特徴 】
層を重ねることでボリューム感をもたせることができるのが特徴です。
カジュアルな靴のカウンターや中底に適しています。
ポイントまとめ
- 床革とは、床皮を原料とした革
- 層を重ねボリュームを持たせることが可能
- 靴のカウンターや中底に適している
最後に
いかがでしたでしょうか?
革の加工方法によって、同じ素材(皮)を使用したとしても、まったく異なる「革」になることがわかったのではないでしょうか?
エナメルなんかも、革だと思っていなかった人もいるのではないでしょうか?
意外にも、意識していない身近なところで革が使用されていたりしますね。